思いついたことを書く

思いついたことを思いついた順に書いていきます。お話が途中でもそのままかもしれないし、いつの間にか完結してるかもしれないし、なくなっているかもしれません。あと途中で小話はいります。

普段料理しないパパが作るものって妙においしいよねという話

「おそ松兄さんたち昼間っから飲んでるの?…ホント、わっかりやすくクズだよねぇ~」
「で、僕は今からにゃーちゃんのイベントあるから行ってくるけど、お前たち合流するの?」
「んーどうしよっかな~。一松兄さんは?」
「めんどくさい」
「だよねー。僕も今日はいいかな」
「じゃ、どっか出掛けるときはちゃんと戸締まりしなよ」
「はいはい、子供じゃないんだから大丈夫だよ。いってらっしゃい」
こたつの中から、ひらひらと手を振った。

さて、夕飯はどうするかなー。十四松兄さんが帰ってきたら、何か買いに行くか…ん?待てよ、ということは…。
「あっ、一松兄さん!」
「急にどしたのトッティ
「今日僕たち3人だけだよ!」
「そうだけど、それがどうか…あ」
「…だめ?」
「……ま、いいけど」
ポリポリ頬をかきながら、一松兄さんが了承してくれた。
「やったーありがと、一松兄さん!十四松兄さんにもライン入れとくねっ」
「ん。…何があったかな…」
のそりと立ち上がると、台所を物色しはじめた。
「何か買ってこなくて大丈夫ー?」
「まぁ何とかなりそう」
「おっけー!」
あぁ~、急にイベントめいてきた。普段かあさんがいない時の夕飯はチョロ松兄さんかカラ松兄さんが作ってくれるんだけど、たまーに、ホントにたまーにだけど、一松兄さんが作ってくれることがある。でもそれは上の兄さんたちがいないとき限定の、いわば松野家弟松限定スペシャルメニューなわけ!もーテンション上がるしかないよね~!!

「ただいマンモス!!」
「おかえり十四松兄さん。結構早かったね、もう帰るとこだったの?」
「ううん!連絡きてから走った!」
「え、どこから…」
「いつもの川んとこ!」
「……兄さん、そこからは自転車でも20分かかるよ…どうなってるの……」
「十四松もう帰ってきたんだ。夕飯もう食べる?」
「「食べるー!!」」

台所からすとん、すとん、と慣れない包丁の音が聞こえる。この不慣れな感じも特別っぽくていいよね~、と、エプロンをつけた後ろ姿を写メりながら思う。
「こんなんとってどうすんの」
「えー記録として?」
「あっそ」
「なんか手伝うことある?」
「じゃ皿でも運んで」
「りょうかーい」
いい匂いしてきた!もうすぐ出来るよ~って十四松兄さんに言ったら、大喜びでバランスボールの上に立ってた。立てるんだ、あれ。

「できたよ、あけて」
「あいあいさー!」
襖を開けると、鍋を抱えた一松兄さんが入ってきた。
「お待たせ」
「待ちくたびれたよ~食べよ食べよ!」
いただきマッスルマッスル!」
蓋を開けると、湯気がもわぁと立ち上った。一松兄さん特製、スペシャルラーメンだ!
「あっ卵とネギも入ってる!豪華だね~何ラーメン?」
「3つ揃ってるのはなかったから、サポいち醤油とチキラーと出前一丁。結果的には醤油?」
「オリジナルブレンドなんだ~」
「トド松なんかそれ、ちがう…」
「うんめーー!一松兄さんうめーっすよ!」
「そう?そりゃよかった」
「うんうん、美味しいよ一松兄さん」
「まぁ誰でもそこそこ美味く作れるように出来てますから」
そうかなあ、と思う。例えば同じものをチョロ松兄さんやカラ松兄さんに作ってもらっても、違う味がする気がする。たまに一松兄さんが作ってくれるっていう、特別感がイイんだよね。
「あっちょっと食べちゃった。写メとらなきゃ!」ピロリン
「早く食べないとのびるよ」
「はぁい」
こうやって3人のときだけ作ってくれるメニューは、具のない焼きそばだったり卵だけのチャーハンだったり、別に内容は豪華じゃないんだけど妙においしい気がする。こうやっておんなじ鍋をつついてても3人だったら取りあいになんかならないし。
「へへへー」
「なにトッティにやにやしてるの、きもいよ」
「えーなんでもなーい」
一松兄さんの悪態も気にならない。
「おいしいねぇ、一松兄さん」
「…ん」

「はーおなかいっぱい」
「後片付けはそっちでやってよ」
「わかってますよーだ。でもちょっと休憩…」
こたつにもぐりこむ。鍋の湯気で適度な湿度になってる部屋の中が心地いい。
「一松兄さん」
「なに」
「また作ってね」
「ん…気がむいたらね」
「やったー…」
…眠くなってきた。ちょっとだけ寝たら、十四松兄さんと一緒に片付けしよう。
次にスペシャルメニューが食べられるのはいつになるかなぁなんて考えながら、僕は意識を手放していた。