思いついたことを書く

思いついたことを思いついた順に書いていきます。お話が途中でもそのままかもしれないし、いつの間にか完結してるかもしれないし、なくなっているかもしれません。あと途中で小話はいります。

我慢比べ

ちゃんとやってないけどちょっと注意。

 

 

 

 

 

最初の思いつきはなんだったか。なんとなーく思っただけだったんだよなぁ。「たまには向こうからちゅっちゅされたりしてもいいよなぁ」なんて。でもそれを言ってみたらあいつってば、

「な、何言ってるんだおそ松。そんなことできるわけないだろっ」

とか言っちゃうからさー俺もなんか急にカチンときちゃって

「へーへー!『そんなこと』ですかへー!わっかりましたーじゃあもうお兄ちゃんからは絶対にして『あげま』せーん!しらねーからな!」

とまあこんな感じで、我慢比べが始まってしまった。

 

それから3日。

まだ何も起きていない。が、なんというか、予想以上にこれは…つらい。こっちからしない、ってことはその『流れ』に入らないってことで。つまりは導入部分である『ちゅー』だの『なでなで』だの『さわさわ』だのも封印されるということ。それらを日常的に衝動的にしてきた俺にとって、その衝動を意識させられつつ抑えるっていうのが本当に辛かった。

(くそっ…早くしてきやがれバカ…)

また鏡を見ているカラ松を恨みがましく見る。それに気づいたあいつが、「どうした兄貴」とか言いながらこっちを見てくるもんだから、もっと近づきたくなる。

「だ~~~~もう!おれパチンコいってくる!」

たまらず部屋を飛び出した。

 

そして1週間目。

う、う、う。なんでだ。なんで何もしてこないんだカラ松。そもそもどうして最初のときあんなに急にカチンときてしまったのか。多分自分ばっかりそういうことをしたがってるみたいで、悔しいのと、寂しいのとあったんじゃないだろうかと今なら思う。なんとなく思ったことだと自分でも思っていたけど、ホントはずっと気にしていたのかもしれない。そういう経緯でのあの発言だったのに!逆にこんなに寂しい事態になっていてもうマジで本末転倒すぎる!

昨日ぐらいからもう見てるのもつらくて、なんとなく避けがちになってしまっている。その度にあいつがちょっとだけ悲しそうな顔をするのもわかっている。ホントに、何やってるんだろ俺。でも、でも、どうしてもこの意地を張らないでいられないんだよなぁ。

なーカラ松。俺のこと、ホントに好き?

それを確かめたくて、この我慢比べを、やめられないんだ。

 

それから更に3日後。

2階の窓辺に腰掛けてタバコを燻らせていた俺の心は、もうほぼほぼ折れていた。殆ど泣きそう。泣きたい。もうあいつの気持ち確かめられなくてもいいから触りたい、お兄ちゃん寂しくてしんでしまう。

もうやめよう。明日俺から謝って、この我慢比べ終わりにしよう。

そう思って、タバコの火を消したのとほぼ同じくらいに、カラ松が部屋に入ってきた。やべっ、と反射的に目をそらす。畳を歩いてくる音が聞こえた。

「…おそ松」

あっ久しぶりに名前呼びだ。ちょっとマジで涙が出そうになって焦った。と、急にぐいっと強く腕を引かれた。不意を突かれてバランスを崩した俺は、床に仰向けに倒れる格好になった。

「おそ松」

その上に、カラ松がのしかかってくる。その時初めて、あいつが今どんな顔をしているか見た。

全身の熱が一気に上がったような錯覚を覚えた。だってあいつってば、もうすごかったんだもの。眉毛はいつもより更に力んでいて眉間に皺が寄っている。目はとろんとうるうるして少し涙目だ。ほっぺたは上気してつやつやと赤い。唇は半開きになって、紅い舌がその隙間から見える。息は浅く、荒く、速い。

いわゆる、発情してます…って感じ。

俺の理性がんばれ!と必死で自制しないと、抑えられそうにないくらい興奮した。

 

何も言わないまま、カラ松の顔が下りてくる。唇が重なったところから、すごい熱が伝わってきた。涙目は泣き顔になってきて、涙が顔にぱたぱたと落ちてくる。ちゅ、ちゅっと何度もついばんでくる。やがて、はぁ、と口をあけて、唇を覆うように重ねるてきた。口の中はトロトロで、更に熱を持っている。舌が何度も唇の間を突いてきて、中に進入しようとしてきた。ちょっとだけ開いてやると、すぐに舌を伸ばして絡めてきた。眉をハの字にして、夢中でむさぼる。…あぁ、もう、ダメだ。

 

肩をぐっと押して唇を一旦離す。同時に起き上がって、逆に押し倒した。

「…カラ松」

名前を呼ぶと、ぐすぐすと本格的に泣き出した。

「う…っ、おそ、松…っふ、っぐ…」

ぎゅうっと抱き締めてやる。嗅ぎなれたカラ松のにおいがする。

「…あー…すげー、安心する…」

思わず口に出してしまう。自分の半分が戻ってきたみたいな感じがする。高めの体温もちょっとゴツゴツした体付きも、何もかもが嬉しい。嬉しくて、同時にどんだけ寂しかったか実感して、切なくなった。

唇を塞ぐ。舌を自分から差し出してきたから、強く吸い上げて軽く噛んでやる。カラ松の体がびくびくと震えた。唇を合わせたまま、頭の先から順番に確かめるみたいに撫でていく。くしゃくしゃになった髪。敏感な耳の後ろ。形のいい鎖骨のくぼみ。そこから引き締まった肩に向かって、しなやかな腕。そして先端にたどり着いて、指を絡めると、ぎゅっと握り返してきた。

片手は鎖骨から下にさがって、胸の突起をなぞってやった。周りをくるくるとなぞったり、先端をつぶしたり、つまんだり。なにか刺激を与えてやるたび、びくびくと震えていた。そして少し強めにはじくと同時に、舌先を噛んでやったら、腰をぶるっと震わせてカラ松が果てた。うわ、触ってないのにイくとか、俺の弟まじエロすぎ…。

「………はっ、はぁ、あっ…」

ようやく唇を解放する。間をつぅっと糸が引いて、ぷつりと切れた。

涙とか汗とかですっかりぐしょぐしょになった顔を見ていたら、急に愛おしさが溢れてきて、また強く抱きしめた。

「あー…なんかね、もーホント、大好きだわお前」

「っお、俺も…好きだ、おそ松…っ好き…」

「うん、よくわかった…嬉しい、さんきゅーな」

「……俺…ごめん、こわく、て…」

「ん?」

「なんか…その、する時…あの、その、気持ち…よくて、えと…なんか、自分じゃなくなっちゃうみたいで、怖くて」

「うん」

「そういう、の…嫌われたら、どうしようって、思ったら…俺…したく、ても、言えなかった、ごめん…」

…あぁもう、こいつはさー。

「…お前ってホント、バカなのなー」

「う…だって…」

まぁ俺もわかってなかったんだから、同じバカか。そう思いながら、頭を撫でてやる。

「どんなお前でも、多分好きだよ」

 

カラ松は一瞬びっくりしてから、とろけるみたいに笑った。

あーもうホントこういうとこ、かわいくてたまらない。

 

「…だから、おにーちゃん今から多分お前のことめちゃくちゃにしちゃうけど、嫌いにならないでね?」

「……えっ」

そうそう、ちょっと怯えた瞳も、大好物なんだよねー。

 

**********

 

「あ、おそ松にーさん」

翌日、十四松に呼び止められた。

「おー、どしたよ十四松」

「カラ松にーさんとは仲直りしたんすか?」

「ま、まぁな…」

ぎくり、とする。こいつ妙なとこ鋭いんだよなー。

「そっかーよかった!カラ松にーさん泣いてたからー」

「え」

「おそ松にーさんに嫌われたかもーって。だから俺言ったんだよー、大丈夫って。おそ松にーさん、めっちゃやらしー目でカラ松にーさんのこと見てたから大丈夫!って」

「…え、やら…え、俺そんな見てた?てかお前にわかるレベルで?」

「うん!みんな知ってるよーチョロ松にーさんは呆れてた!一松にーさんはガチギレしてた!トド松は引いてた!」

「…まじかー」

 

やっぱよくねーな、我慢比べ。あと一松今度〆よう。